明治・大正・昭和と水力発電の歴史が間近で見られる岐阜県八百津町「旧八百津発電所資料館」
外観は欧風ロマンが漂うレンガ造り。歴史を感じるモダンな建物が木曽川と大自然の風景に溶け込んでいます。
八百津町から、木曽川・蘇水峡手前にある「旧八百津発電所資料館」
「旧八百津発電所資料館」は、東海環状自動車道 美濃加茂ICから国道418号経由で約40分、八百津の町中を抜けて東に向かい、人道の丘公園方面へ分かれる道を案内板に従って、曲がりくねった道を進んで行くと見えてくる。木曽川に面した諸田公園の一角に建っていて、広い駐車場もある。
外観はレンガ造りモルタル塗り、ヨーロッパ風建築を思わせるモダンな建物である。佇まいそのものが、明治・大正・昭和の文化と、産業の近代化への歩みがここに凝縮された形としてとどまっているかのようにも思えてくる。
ヨーロッパ風建築の面影が見られる本館建物
天井が高い欧風デザインの広々館内。
重要文化財の旧発電所建屋である資料館の狭い入口から中に入っていくと、送電碍子(がいし)や変圧器の並ぶ母線室には、ギャラリーや情報コーナーが設けられており、くつろぎの空間になっている。扉から中に入ると大きな発電機の並ぶ発電室が有り、天井も高くアーチ型の窓や高窓で囲まれた館内は、どことなく異国情緒満点だ。
今にも発電機の陰から、鹿鳴館からタイムスリップしてきた貴婦人が現れそうな錯覚をおこしてしまいそう程である。
広い空間で圧倒的な迫力で迫る発電機
「旧八百津発電所資料館」の63年間に渡る歴史
明治44(1911)年に名古屋電灯(株)により竣工。木曽川水系最初の発電所として建設されものです。明治・大正・昭和と63年に渡って発電されましたが昭和49(1974)年に運転休止になり役割を終了。その後、八百津発電所の本館を使って、平成10(1998)年4月に博物館として開館した。同年5月1日に重要文化財に指定された。
発電設備として、当初はモルガン・スミス社(米国)製水車4台、ジェネラル・エレクトリック社(米国)製の発電機4台が設置されて、当時の日本では出力7500kwを発電する有数の発電設備です。放水口発電所は、大正6年に、八百津発電所の放水を利用して造られ、出力1200kwの発電施設です。どちらも歴史を感じます。
関西電力から昭和53年に地元八百津町に発電施設を譲渡されたものです。
資料館展示内容としては、郷土資料展示コーナー(2階)、情報コーナー・町民ギャラリー(1階)、発電技術コーナー(1階)、木曽川筏の歴史と筏下り技術コーナー(2階)があります。水力発電についての歴史(ルーツ)を知る上で、木曽川の移り変わりなど興味深い資料が見られ、八百津の歴史や産業が紹介されている。ここから発電室を見下ろすと、発電機がお行儀よく並んでいる“かたつむり”に見えてくる。パンフレットにもイメージキャラクターとして「でん電くん」が登場している。思わずうなずいてしまった。
水車、発電機が設置された発電所の心臓部
所在地・アクセス
旧八百津発電所資料館
岐阜県加茂郡八百津1770番地の1
午前9時~午後4時(冬季時間変更あり)
(入場は午後3時30分まで)
休館日 毎月月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
年末年始
入館料 一般 320円(団体210円)
小中学生 110円(団体50円)
(杉原記念館との共通入館券)
一般410円/人 小・中学生100円/人
旧八百津発電所資料館 八百津町教育委員会
TEL 0574-43-3687
春の放水口発電所と木曽川
(ぶら旅ネット K.Yamada)